概念
精巣静脈瘤は内精巣静脈への静脈の逆流により、つる状静脈叢に血液がうっ滞することで生じる。多くは左側に認められることが多い。
原因としては静脈弁の異常、左精索静脈の左腎静脈への流入角度の異常、nutcracker現象等が挙げられる。頻度としては、約15%の男性で認められる。将来不妊になる頻度は約20%と言われており、男性不妊症の約40%の原因が精巣静脈瘤であるという報告もある。1)

 

症状
無症状であることが多いが、痛みや突っ張り感などの不快な症状を生じることがある。

 

診断
外観上、陰嚢部の腫脹を認める。
また、仰臥位だけではなく、立位や腹圧をかけた状態での触診が重要である。通常陰嚢上部に腫瘤を触知するが、腹圧をかけることで腫瘤がはっきりする。検査としては、MRI、精巣静脈造影、超音波検査等がある。(図1)

 

治療
術後精巣の発育の改善や不妊症の改善等の報告がある一方で、不妊症の可能性はあるものの、すべての症例で不妊になるわけではないため、小児期における手術適応については議論が分かれるところである。2)

 

手術療法
基本的に治療法は手術療法である。開放手術・経皮的内精索静脈塞栓術・腹腔鏡下手術の3種類がある。3)

 

  1. 開放手術
  2. 鼠径部または下腹部に切開を加え、直視下に精巣動静脈を含めて結紮する。可能であれば、精巣血管束の動脈を同定し、静脈のみを結紮する。
  3. 経皮的内精巣静脈塞栓術
  4. 内頸静脈または鼠径静脈から血管カテーテルを挿入し、内精巣静脈を直接塞栓する
  5. 腹腔鏡下手術
  6. 腹腔鏡を腹腔内に挿入し、内精巣動静脈をクリッピングする。可能であれば、精巣血管束の動脈を同定し、静脈のみをクリッピングする。(図2・3)
図2
図3
豆知識
手術で精巣動静脈を結紮するため、両親または患児本人が術後の精巣への血行や発育を心配することが多い。そのため、精管動脈等からの流入があるため大丈夫であるということをしっかり術前に説明すべきである。また、比較的年齢が高い症例が多いため、患児本人の不安や心配が増大する症例も多く、患児本人のメンタル面でのサポートも重要である。

文献
1) Berger OG : Varicocele in adolescence. Clin Pediat, 19 : 810-811, 1980
2) Parrott TS: Ligation of the testicular artery and vein in adlescent varicocele. J Urol,152 : 791-793, 1994
3) Aza Mohammed : Testicular Varicocele: An Overview. Urol Int, 82:373 -379, 2009

  • 小児外科看護の知識と実際 (臨床ナースのためのBasic&Standard)メディカ出版 (鼠径部・泌尿生殖器)