5~11歳の新型コロナウイルスワクチンについては、判断に迷うところです。現時点では、私は原則として接種した方がよい(特に年長であるほど)と考えていますが、「絶対にやりなさい」というよりは「接種した方がいいし、おすすめするけど、しっかり考えてみてね」というスタンスです。最終的には家族の判断だと思いますが、そのためには判断材料が必要です。今日は、そこのあたりをまとめてみました。
- ファイザーのmRNAワクチンである
- 1回0.2mLを3週間間隔で2回、筋肉注射にて投与する
- 成分量は12歳以上のワクチンの1/3である
- 海外では、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告(従来株)
- オミクロン株では、感染予防効果は成人と同様に低下するが、重症化抑制に効果ありと推測される
- MIS-Cという小児にみられる致死性の高い重篤な合併症予防に効果ありという報告あり(従来株)
- 5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低いというデータあり
→米国での42,504人の調査で、2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%、発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%。別の調査で、4,249件の副反応疑い報告のうち97.6%が非重篤。重篤として報告された100件の中で最多が発熱(29件)、11件が心筋炎。心筋炎は全員が回復。
参考に第Ⅱ/Ⅲ相試験における有害事象の頻度を示します。副反応を過度に心配する必要はなさそうです。
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5~11歳のCOVID-19症例の大多数は軽症だが、酸素が必要など中等症例も散発的に報告されている→今後、感染者数が増加した場合には、ワクチン未接種の小児が占める割合が増加し、小児の中等症や重症例が増えることが懸念される
- 前記のMIS-Cも増加する可能性あり。ただし、MIS-Cの発生頻度には人種差がかなりあり、日本での報告は少ない
- 欧米で小児感染者の増加に伴い、Long COVIDの懸念が出ている
- 重症化リスクの高い基礎疾患のある児には特に推奨する
参考:基礎疾患とは、神経疾患、脳性麻痺、慢性肺疾患、慢性心疾患、ダウン症候群をはじめとした染色体異常症、悪性腫瘍や移植などによる免疫不全状態、高度肥満など - 5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の接種と同様に意義があると考えられる
- 健康な子どもへのワクチン接種には、メリットとデメリットを本人と家族が十分理解し、判断する
- ただし、より軽症な12歳未満への接種より、12歳以上の接種を優先するべきである
- 周囲の成人(教師、保育士など子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要である
- 同居家族にハイリスク者がいる場合は考慮する