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漏斗胸(ろうときょう)

漏斗胸(ロート胸)とは

ロート胸とは

胸骨が陥凹し、心臓が左に移動しています。これが原因で不整脈が出ることがあります。

漏斗胸とは、胸骨(胸の前の骨)とそこにつながる肋骨が背側に陥凹している状態を言います。原因は、今のところはっきりと分かっていません。
中には陥凹した胸骨が心臓を圧迫するために、不整脈や運動時の息切れを訴えることがあります。しかし、そのような症状がなくても自分の胸の形を非常気にされ、つらい思いをされているお子様も多くおられます。

治療 (胸腔鏡下胸骨挙上術(Nuss手術))

胸腔鏡下胸骨挙上術当院で行なっている治療は、手術的に陥凹した胸骨を持ち上げるものです。肋骨を切離して胸骨を挙上する術式もありますが、当院では金属バーを挿入して胸骨を挙上するNuss手術を導入しています。Nuss手術とは、両側の胸部に2cmの切開を入れ、体格にあわせて曲げたチタン製のバーを胸骨の裏に挿入し、そのバーを回転させることによって胸骨を持ち上げるというものです。金属バーは約2年間留置し、その後手術で抜去します。傷は腋窩のためほとんど目立ちません。また、肋骨を切らないため低侵襲です。この手術は保険適応になります。

陥凹した胸骨の裏に、あらかじめ体格にあわせて曲げておいたチタン製のバーを通しそれを回転させます。そのバーは約2年間留置し抜去します。

傷は正面からは見えにくい場所になります。

麻酔

手術は全身麻酔で行います。また、手術の際に術後の痛みを和らげる硬膜外麻酔というものを併用します。
これは脊髄の近くに細いチューブを留置し、術後数日間痛み止めの薬を流すというものです。これによって術後の痛みはかなり軽減されます。麻酔についての詳しい説明は麻酔の専門医が行います。

手術の合併症

  • 無気肺
    全身麻酔で手術を行います。また術後には多少痛みもあります。
    そのため痰が気管に溜まり、肺に空気が入りにくくなることがあります。ほとんどの場合はしっかり咳をして痰が出せれば改善します。
  • 気胸
    手術の時には、胸腔(肺の外側)にわざと空気を入れて操作を行います。
    その空気が術後に残った状態を言います。軽度であれば何もしません。自然に治ります。
  • 胸水・血胸
    手術の後胸腔に液体や血液がたまる事がごく稀ですがあります。
    少量であれば自然に吸収されますが、量が多いときは穿刺して抜く事があります。
  • 感染
    挿入した金属バーに感染(ばい菌が繁殖する)を起こす可能性がわずかながらあります。
    もし感染したときは抗生物資などで対応しますが、改善されない時は予定より早くバーを抜去する必要があります。
  • バーのずれ
    挿入したバーは肋骨に固定します。しかし、大きな力が加わればバーがずれる事もあります。ですからバー挿入の期間は運動の制限があります。
  • 他臓器損傷
    漏斗胸では胸骨の変形のため、心肺が変移していることがあります。そのため胸腔鏡で確認しながら安全に手術を行います。

手術後の運動制限

手術後はバーのずれを予防する意味で、相撲・空手・柔道などの格闘技・スキーなどの激しい接触が予想されるスポーツは控えてください。
走ったり、跳んだり、水泳といった普通の運動は構いません。体育の授業に関して内容によっては避けた方がいいこともありますので主治医に確認してください。
もちろんバーを抜去した後は制限はありません。

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